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『兄ちゃん、奥手すぎっ!』
自宅に帰り、俺は夜空に電話した。
こんなこと、12歳も年下の弟に相談するなんて、年甲斐もないが…。
「…俺、このまま、翔子と何もないのかなぁ…。」
俺がぼやくと、電話の向こうで夜空がゲラゲラと大笑いした。
『ブハハッ!あのさぁ、未経験の俺に、そんなこと聞かれても困るんだけどぉ。』
夜空は必死に笑いをこらえながら、話す。
「えっ?お前、経験ないの?」
俺は驚いて、そう返した。俺の恋愛相談に、いつも的確なアドバイスをくれる夜空だ。経験がないなんて、信じられなかった。
『ないよぉ!大切にとってあるの。本当に好きな人が現れるときまでっ!』
まるで、夢見る少女のようにそうつぶやく夜空。
「へぇー…。」
俺が曖昧な返事を返すと、夜空が続けて言った。
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