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「…翔子?」
そう名前を呼ばれ、つま先から頭のてっぺんまで一気に熱を帯び、ゆでタコ状態になる。
さっきまでのニヤケ顔も、久しぶりに会う彼の前で、緊張して固まってしまった。
それでも彼は、真っ赤に染まってるカチカチのあたしを見つめ、そしてにっこりと微笑んだ。
「久しぶりだね。」
「うん。」
「なかなか休みとれなくて、ごめんな。」
「ううん、大丈夫。」
ブルブルと首を振るあたしの頭の上に、ポンと彼の大きな手の平が乗る。
微かな重みと手の平から伝わる熱で、あたしの頭から湯気が出てるんじゃないかと思って恥ずかしくなってしまう。
そんなあたしにお構いなしに、彼の手の平はそのまま滑るように髪を撫で下ろしていく。
髪一本一本に神経が通っていて、触れられたとこだけ踊るように跳ね上がっているような感触に、あたしは恥ずかしくなってまた俯いた。
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