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「翔子、顔あげて。」
そう呼ばれ、慌てて顔を上げるあたしに、にっこりと微笑む彼。
夏に出会った頃より少し伸びた黒髪を、今日はくしゃっとセットし、前髪が額にかかっている姿は、あたしより12歳も年上だとはとても思えない。
普段はビシっとスーツ姿で大人の魅力満載なのに、
デートのときは、あたしに合わせてか、すごくカジュアルな格好をし、歳の差を感じさせないように気を使ってくれてるのが、嬉しかった。
「…カッコイい。」
「えっ?」
あたしが思わず漏らした本音は、かろうじて届かなかったようで、
慌ててブルブル首を振ると微笑んだ。
そんなをあたしを不思議そうに見る王子様…。
…あ、またロマンチックポエムの世界に入っちゃった…
それでも、久しぶりに会って、ただ見つめ合う。
それだけで、世界一幸せに感じ浸った。
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