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近づくにつれ、車の数も多くなり、想像以上に人がいることが分かり、不安になる。
「…人、多そう。」
あたしがそうつぶやくと、
「大丈夫だよ。逆に人多すぎて、気付かれにくいって!」
と、朝陽は笑って言った。
「それに、翔子の行きたかった場所でしょ?」
あたしは、朝陽の言葉に驚いて顔を上げる。
…行きたいって言ったことないよね。
朝陽も忙しいし、人混みは避けたいと思ってたから、あたしは行きたいと口にしたことはなかった。それなのに…。
「だって、翔子。いつもお前が選ぶDVDの中にはディズニー物入ってるし。この前だって、食い入るように雑誌のディズニーランド特集見てたからさ。」
そう言って朝陽は、あたしのおでこを指でつんっと小突いた。
あたしは、ハッとして耳が真っ赤になる。
…バレバレだ。
「到着!行こっ!」
朝陽の声に、あたしは慌てて車を飛び降りる。
それから、助手席側にまわってきた朝陽が、手を差し出して言った。
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