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その看板には、
人気アイドルが両手の指でハートを作っている写真が写っていた。
それをここで梓にやれというのだ。
しかも、セリフ付きで。
「ばっばか言ってないでよ!!」
もちろん恥ずかしがり屋の梓に、そんなことができるわけがない。
将悟は表情を変えずに、
「早くしないと信号変わっちゃうよ?」
と、梓を挑発するように言った。
梓は思った。
鬼だ…
信号待ちの車からはクラクションが鳴り響き、
窓から顔を出している運転手からは、
危ないだの早くどけだの、
色々な声が聞こえてきた。
交差点を歩く人々や周りの人々は、
興味深そうに2人を眺めている。
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