将悟と梓

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  悔しい。 ここは従うしかないのか…    梓の前で両手を広げ、 微笑みながら<どうぞ>のポーズをしている将悟を、 梓はじっと睨んだ。   そして覚悟を決めた。     「しょ…将悟、だい…」   片手で体を支えているため、ハートは片方の手で半分作った。 しかし、声が出ない。   クラクションや人々のざわめきで梓の声はかき消される。   将悟は   「聞こえないなぁー?」   と、梓に催促をする。   信号はもう点滅している。    恥ずかしさと怖さと悔しさが入り交じり、 梓は真っ赤な顔をしている。   「…っだっだい…だい…」    なかなか言えない梓。   ついに、信号が赤に変わった。  
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