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私が悩み続けている間に時間はどんどん過ぎて、とうとう明日が退院の日になってしまった。
ちょうど私が田辺さんを受け持つ最終日でもある。
「田辺さん、荷物の整理進んでます?」
「あ~紗弥ちゃん。後もうちょいだよ」
「明日……退院ですね。おめでとうございます」
「ありがとー。これで、やっとまたバイクに乗れるよ」
そう言うと、田辺さんは嬉しそうに笑った。
「バイク好きなんですね」
「うんっ!バイクで走ると気持ちいんだぁ~」
「へぇ~私バイク乗った事無いから、いまいち分かりませんけど、気持ち良いんでしょうね~」
「……あたしのバイクの後ろに乗せたげよっか?」
「え?」
「何てなぁ~!まだ会うって決まった訳じゃなし!」
頭を掻きながら、田辺さんは照れ笑いをしていた。
私は結局まだ答えを出していなかった。
明日にはもう、会えなくなるのに…。
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