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シーン……。
あれ返事が無い。
頭を上げると、田辺さんはシーツを被っていて顔が見えない。
「あらら、寝てるのかしら?高橋さん悪いけど起こしてくれる?私は検温に行ってくるから。起こしたら情報収集ね」
「はいっ」
看護師さんが病室から出て行くのを見送ってから、私は患者さんを起こそうとシーツに手をかけた。
「田辺さーん、今寝ちゃうと夜中眠れませんよー?」
ガシッ!
すると、いきなり手を掴まれた。
「ひゃっ!!」
「………アンタ誰?」
機嫌が悪そうに目を覚ましたその人は………………めちゃくちゃ美人だった。
何この人!?
スッゴい綺麗!
長い黒髪。
スッと通った鼻筋。
白い肌。
ちょっとつり目でキツイ印象を与えるけど、凛々しくて良い……。
うわっ……細いし……良いなぁ~羨まし~。
「おーい、どうしたの~?」
ハッ!
ヤバッ、見とれてた!
さすがに見とれてましたとは言えず、サラッと流した。
「あっ、申し遅れました。私、これから3週間受け持たせて頂きます、学生の高橋です!これから、よろしくお願いします」
「あ~話は聞いてたよ。あたしは、田辺尋華。今年で26。よろしく頼むよ~」
掴んでいた腕をブンブン振って、田辺さんは笑った。
………笑顔も綺麗…。
私は正直ラッキーだと思った。
こんな綺麗な人を受け持てるなんて幸運だと。
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