未確認飛行物体

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営業マンの高井新司は、営業課長の加納良雄の商談に、勉強の為運転手兼任で同行していた。 高速道路が混み合う事を予想して、朝の7時に会社で待ち合わせをし、一路お客様の元へと車を走らせていたのだが、いつも混み合う場所ではない所で渋滞に巻き込まれ、車は停止徐行を繰り返していた。 課長、事故でもあったんですかね。 時間的には、余裕を持って出発してたので問題はないのだが、車の流れが、事故や故障車などのトラブルがあった状況に似てるので、課長との会話つなぎに新司は聞いてみたのである。 う~ん、それにしてはラジオの交通情報は、渋滞の事をまったく言ってないな。 課長の言う通り、交通情報では、この区間の渋滞は一切取り上げてなかった。 それから15分程、同じように徐行や停止を繰り返して、ふと前方の車の運転手を見てみると、右側の上空を眺めながら運転しているのに気付いた。 何かあるのかな。 そう思った新司は、同じように右側上空を見て驚いたのだ。 あれって何… 新司が見た方向には、銀色の球体で、回転してる飛行物体が上空に停止してたのだ。 課長、あれを見て下さい。UFOですよ。 その言葉に、上空を見上げた課長も、息を飲み込んだ。 なるほど、渋滞の原因はこれか。 新司はそう思い、銀色の球体を見ながら、運転していた。 すると、銀色の球体がその場で小さくなり始め消えてしまい、そこから右方向、少し離れた場所にいきなり銀色の球体が現われたのだ。 課長、瞬間移動っすよ。 興奮気味に新司は課長に話かけた。 こんなすごい物を見れるとは、早起きはするもんだな。 課長は笑顔でこう言い、さらにこう続けた。 未確認飛行物体による渋滞、交通情報は取り上げずだな。 まわりの車に乗ってる人達も、皆同じ方向を見上げ、上空のショーに魅入っている。 それから数分後には、銀色の球体はその場で消えてしまったのだが、まだどこかに現われるんじゃないかと見回し、この渋滞はなかなか緩和されなかった。 かなり多くの目撃者もいたはずなのに、交通情報同様、この話を耳にすることはなかった。 何か、俺達が知らないとこで、圧力でも掛かってるんだろう。 課長の言葉に、妙にうなずける新司だった。
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