金縛り王2

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彼の名前は神崎重人。 1週間ほど前に、自宅の寝室で初めての金縛りを体験、その時出会った死神に1年後の死を約束されたのだ。 まぁ、1年後にまた会おうって言われただけだし、また会いたいってだけだろう。 彼は、かなりの楽天家でもあった。 ただひとつ、彼の生活が変わった事といえば、死神と出会った日から毎日金縛りを受け続けてる事だろう。 この1週間の金縛りの特徴は、いきなりガチャンって感じで体が硬直し、目を動かして辺りを見回しても何もいない、ただ辺りの雰囲気だけが重苦しいというものである。 しかし、何か居てようが居てまいが、金縛りにあうだけでも体力や精神力をかなり消耗し、それを1日に何回もあうので、重人はまともな睡眠を取れないでいた。 そんな中、重人は気付いた事があるのだが、金縛りを受けてる最中は、弱気になるとダメで、強気に出て気合いで解くのが有効だという事である。 今日と明日は休みだからゆっくり睡眠とらないと、休み明けはまた出張だからなぁ…。 まてよ、俺の部屋だから金縛りにあうんじゃないのか、寝る場所が変われば大丈夫かもしれない。 前向きに捉えた重人は、気合いを入れて寝室へと向かった。来るなら、来やがれ。 これは後々わかる事だが、この言葉は言ったり思ってはダメなのである。 しかし、今の重人にはわからない事なので、自分に対して気合い入れの言葉に使っていた。 寝室の電気を消しベッドに入りこんだ重人は、暗闇の天井を見上げある異変に気が付いた。 暗闇の中、この漂うタバコの煙みたいなのは何だろう… 昨日までは、気付かなかったのに… そう心で呟き、睡魔に襲われた重人はゆっくり瞼を閉じた。 それから数分後、いつもの金縛りにあったのだが、今までとはまったく違う金縛りであった。 それは、足下からジワジワ這い上がってくる感じで、頭の先までゆっくり到達し、体が動かなくなったのである。 何か気持ち悪い、金縛りだな。 目を覚ました重人の印象である。 そこで、いつも通りに目を開け辺りを見回してみると、足下にスラックスを履いた者が立っていたのである。 何故だか重人に恐怖心はなく、いや、死神を最初に見たおかげで、それ以上のインパクトが無いだけかもしれないのだが、冷静に足下のスラックスを履いた者を見つめていた。 さて、どんな奴が立ってるんだ。 内心そう思いながら、目線を上に向けていき重人は驚いた。
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