第二章『佑と楓』

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……………。   しばらく無言の会話が続いた。 『あのさ』 『あのさ』 『あっ、ごめん。そっちからでいいわよ。』 『あのさぁ…楓。』 やっべぇ…。何て言おうとしたんだっけ。 『こ、この料理旨いな!』 『え?あ、ありがとう。』 楓は下を見ながらモジモジしている。ほめられて、照れてるのか?   なっ!? 不意に、楓は落ち込むような、表情を見せた。 なんだ?こんな顔の楓、見たことない。   その顔を見てどうかしちまったのか、俺はこの場で聞くべきことじゃないことを聞いてしまった。そんときの俺は、今しかないと思ったのだろう。   『あのさぁ楓。なんでお前は、こうも俺にいろんな事をしてくれるんだ?』   楓が一瞬、ビクッとなって、それから今まで聞いたことのないような小声で、 『そ、それは…。えっと……。その……。』   な、なんなんだよ、最近の楓!なんか調子狂う。 嗚呼なんだか頭の中が混乱してきた。   『わ、わりぃ楓。なんか聞いちゃいけないこと聞いちまったな…。飯旨かったよ。ありがとう。両親によろしく伝えてくれ。じゃあ、俺はそろそろ。』 すると、俯いた(うつむいた)ままの楓から思いもよらぬ言葉が。 『待って!!』 思わず振り返る俺。 楓は俯いたままだ。 『ごめん、やっぱりなんでもない。私こそ今日はありがとう。じゃあ……おやすみ……』 『ああ…おやすみ。』   俺はそそくさと玄関のドアを開け、自宅に向かった。 俺は手を洗うと直ぐさま、自分のベットに横たわった。 さっきの楓が頭から離れない。 っちくしょう。俺、やっちまったかなぁ。   その日は明け方まで眠れなかった。           第二章『佑と楓』完     第三章に続く
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