第三章『楓の過去』

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…鳥の囀り(さえずり)が聞こえる。   『ん?……あぁもう朝か…』   どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。 でもかなり遅く寝たからな。もう昼くらいか。 『あぁ。今、何時だ?』 …と、時計に目をやると、    AM10:32 『はぁもう10時か。は?10時?そんな馬鹿な!!』 俺は重大な事に気が付いた。 学校?いや、今日は土曜日だ。県立の高校は休みだ。   何かって?   おかしいじゃねぇか。こんな遅い時間に、俺がしかも自分で起きるなんて! いつもは休日でも8時半には楓が起こしてくれるのに。 もう2時間以上経ってる…。 一体どういうことなんだ。   と、とにかく俺はリビングに行った。 『あっ。やっと起きた!』 そう言ったのはお袋だ。 『よく寝たわねぇ。てっきり楓ちゃんに起こしてもらってるかと……』 『その楓がおかしいんだよ!最近。何かと顔をそらすし、急に俯いて赤くなったり…。』 『…ハッハーン!なるほどねぇ。母さんわかっちゃったよ!』 『わかったって、何がだよ!』 『つくづく鈍感だねぇ、アンタは。まぁそのうちわかるよ!』 『あっ、そうだ。昨日、楓ちゃんに夜ご飯作って貰ったんだって?』 『なんで知ってんだよ…。』 『いいから、いいから!コレ、御礼の果物。ほら!持って行ってらっしゃい!』 『へいへい。』   なんか知らんが、親が楓に飯作ってもらった事を知ってやがる。 …ったく、オバサンって生き物の情報網はすごいな。感心、感心。 って感心してる場合じゃねぇや。さっさと持って行って楓に謝ってくるか。 理由はわからんけどなんか謝ったほうが良さそうだしな。
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