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『えーっと、朝倉の席は…。あ!調度良い。綾瀬の隣が空いているから、そこに座りなさい。』
増岡のヤロー!よりによって俺の隣に座らせるなんてよ!
向こうはまだ気付いてないみたいだが、それも時間の問題。
『綾瀬君…だっけ?お隣り同士よろしくね!』
『あ、あぁ』
やばい!まともに顔が見れない!どうしたら…。
『ねぇ。何でさっきから外ばっかり見てるの?何かあるの?』
『いや、別に…。』
…と、俺。
『あーっ!わかったぁ!顔を見るのが恥ずかしいんでしょ!』
『ほら!気にしてないでこっち向きなさいよ!』
そう言って無理矢理引っ張られる。
『や、やめろっ…。』
そう言った次の瞬間、起こりたくなかったことが起きちまった。
目を合わせちまった、俺と楓。
『あーっ!!貴方はあの時の!!』
そう言ったのは楓だ。
『また会ったな。残念だったか?』
『残念も何もないわよ!さっきのこと、忘れてないでしょうね?』
それは俺だって忘れたくても忘れられん。
忘れようとしたら、再びお前が目の前に現れたんだからな。
『なんだ。二人は知り合いだったのか?それなら話は早いな。』
会話に入ってくるな、増岡。それに話ってなんの話だ。
『べ、別に知り合いでもなんでも無いです!ただちょっと登校途中にぶつかっただけです!しかも綾瀬君、人のせいにするんですよ!』
おいおい、人聞きの悪いこと言うな!話がややこしくなる。
『そうなのか?綾瀬。だいたいお前は遅刻ぎりぎりに登校しようとするから、こういう事になるんだぞ!』
それはこいつ(楓)だって同じじゃねえか。
『綾瀬、これからは気をつけろ。こういうことは男が責任とるんだからな! よし。少し遅れたが出席をとるぞ。』
…ったく、これからどうなっちまうのか…。
俺には想像もつかないぜ…。
第一章『出会い』完
第二章に続く
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