第二章『佑と楓』

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ピンポーン…。   …返答がない。   ピンポーン…。   すると、ドタドタと階段を下りる音が聞こえてきた。 『うるさいわね~。聞こえてるっつうの!!』 楓の声だ。 玄関の斜め上の小窓が開いているのに気付いてないのか、はたまた聞こえるようにわざと言っているのか。 真相はわからないが、玄関のドアを開けた楓は、さっきとは全く違う態度で、 『さっ、入って入って!』 と俺を中に招き入れた。   つうか、俺だってわかってたのか? 『だって階段の窓から見えたもん。』 じゃあさっきの愚痴はわざとか? 『え?私愚痴なんか言った?』 なんなんだコイツ…。 まぁ晩飯ご馳走になるからそんなこたぁいいか。   『って、そういやさっき二階から下りて来たが、飯は作ってなかったのか?』 『大丈夫。ご飯はもう炊いてあるし、さっきはおかずを煮込んでる間、ちょっと用があっただけ。あと少しだからもうちょっと待ってて!』 『ああ…。』 礼を言おうとしたが、タイミングを逃したので、あとででも良いだろう。 んで……。これが楓ん家か。さすがに片付いてるな。ってリビングだし当たり前か…。   すぅ…と息を吸ってみる。 人ん家の匂いがするな。なんか新鮮だ。まぁ結構、新築だし。 そんなことを考えていると美味しそうな別の匂いが。   『さっ、できたわよ~!』 と楓がキッチンの方から次々と晩飯を運んで来た。 意外に豪華だな…。 『これ、全部楓が作ったのか?』 『そっ!意外だった?』 ま、まぁな。一見、というか俺が見るかぎり、活発で料理があまり上手そうでは無いイメージがあったが。 人は見かけに寄らないということを改めて実感した。
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