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「どうりで寒いわけだ…とりあえず冷えた体を温めないと!!」
こんなに広い家だし、ヨーロッパ風の家だから暖炉があると思い、リビングに向かった。 予想通り、立派な暖炉は、あったものの…
「どうやって火…付けるのだコレ?」
マッチで、何度擦っても、
なかなか火が付かない。
徐々に手の感覚が無くなって来た。息も…白い。
「なんで付かないの?」
「……こうやって付けるんだよ。」
後ろから、あの男の声がした。男は後ろから手を回し、私の手の上に乗せながら、 マッチに火をつけ、暖炉に放り投げた。
ゆっくりと暖炉に火がともる。冷えた私の体が温かくなりつつある。
「随分と冷えた体だな。」
そう言って後ろから抱き締めてきた。私は、こんなに寒いのに男は凄く暖かかった。 これが“人の温もり”
「ここは何処?」
「此処は、俺の住んでいる世界、心配するな。」
「世界?国じゃなくて?」
「そうだ、あの世界に居る必要もないからな。」
そうか私は、この男に命をあげたから。あの世界にいる理由もないって訳か。
「あの後…どうなった?」
「俺がお前を連れて来て、傷の手当てをして、何日も眠っていた。…そのまま寝かせてやろうと思ったが、服が血まみれだったから、着替えさせた。」
―服を…着替えさせた??―
今頃になって服が違う事に気付いた。
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