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次に目を開ける時は、天国だと確信していた。
スッと意識が戻り、ゆっくりと目をあけた。
またしても見知らぬ所で寝ていた。目の前には暖炉の薪が音をたてて燃えていた
―天国じゃないみたい。―
ゆっくりと起き上がる。
体の上には毛布が何枚もかけられていて、足元のテーブルにはスープが入っているお皿があった。
キョロキョロと周りを見ていたら 背後から声が聞こえた。
「あ!目覚めましたか?」
クルッと後ろを見ると、優しそうな眼差しをした青年が立っていた。
「良かった。雪の中にうもっていたときは驚きましたよ。もう体の方は―」
青年が言い終わる前に、
私は距離をとった。
―命を助けてくれた人だけど、簡単には信用できない。―と私は思った。
「大丈夫ですよ。何もしませんから。それに何かするのなら、とっくにやってますし。」
ニコッと笑いながら言う顔に嘘は見えない。
「すいません。助けてくださったのに警戒してしまって。」
「いえ、気にしてませんから。それに警戒するのはあたりまえですよ。」
「どうして、私がうまっているのが分かったんですか?」
「この吹雪の中を犬達と歩いていたんだ。そしたら犬達が急に雪の中を掘り出してね。何か見付けたのかと思ったら、人がうまっていて急いで小屋に連れてきたんだよ。一瞬、駄目かと思ったよ。」
「そうだったんですか。それなのに…すいません。」
「あ、いえ!本当に気にしないで下さいよ。」
クゥーン
クゥーン
と隅から鳴き声が聞こえた
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