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「…ハァ…ハァ…」
手で押さえても出血が酷くて止まらない。
暗い細い道、この道は殆ど人が通らない場所。
助けなんて来るはずもない
コツ コツ
コツ コツ
意識が遠くなる一方で、足音が聞こえてきた。
その足音は私の前で止まった。黒いブーツが目に入った。
「……!」
そこに立っていたのは数日見なかった…あの男だ。
黒髪に、スカイブルーのような目をしていた。
全体的に見ると、モデル体型なのに、がっちりとした体つき、長身なのに膝まである長いコートをはおっているよう。
「…大丈夫か?」
男はキョロキョロしながら私を見る。
「大丈夫に見える?」
話すのもやっとの状態。
―このままだと…―
「このままだと死ぬよ?」
“死ぬ”言葉を聞いた途端。何も感じなくなった。
恐怖も…何も感じない。
「…フフッその方がマッシ私は死んでこそ…自由になれる」
そう。今のままより、死んだ方がまっし。
この世界に居ても、私には何もない・価値すらない。
なら、どうする?
「このまま生きるより、このまま死んだほうが良い」
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