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今日は入学式、高臣晴海(タカオミハルミ)は胸を弾ませながら電車を降りた。
私立陽明学園は地元でも有名で、晴海も憧れを持っていたので合格通知が来た時には飛び上がらんばかりに喜んだ。
ただ一つ気になっていること、それは、
「え?!晴海くん、陽明行っちゃうの?」
驚いた様に幼なじみが言う。
「うん」
晴海が頷くと彼女は寂しそうに目を伏せた。
「あそこって、男子校だよね…。一緒に通えなくなっちゃうね」
「うん…ごめん」
「いいの。でもさ」
「何?」
「晴海くん、かわいいから襲われないように気をつけてね?」
顔を上げた彼女の目は、キラキラと輝いている。
「襲われるって…」
思わず絶句した晴海に、彼女はにっこりと微笑み、
「彼氏が出来たら教えてね」
そう言って、呆然と立ち尽くす晴海を残して去って行った。
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