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僕が弥生と初めて会ったのはちょうど彼女が18歳になった日。
それまでの自分の人生が、どうしても好きになれない彼女は、断片的に記憶に残る楽しかった思い出だけを頼りに、一人でこの町にやって来た。
この町には弥生が大好きな祖母の「多恵」がいる。
18歳の少女の数少ない楽しかった思い出のほとんどは、10歳迄のものだった。
そこにはいつも母の「美恵子」がいたし、祖母の「多恵」もいた。
駅に着いてすぐに求人誌に載っている風俗店全てに電話をしたようだ。
その中で一番最初に駅に迎えに来てくれる店で働こうと思っていた。
僕はその時、駅で他の女性との面接がちょうど終わったところで、事務所から連絡を受けてから、駅で待つ「金色の髪の少女」を見つけるまで、ものの3分とかからなかった。
柱にもたれてあぐらで座り、求人誌を見ながら携帯で話す彼女の姿を周囲の人は少し距離を置いて見ていた。
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