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「仕事の件で電話くれたよね?」
「はやっ!」
彼女はどこかの店に電話をしていたようだったが、僕の姿を見るなり電話を切った。
「ガチャギリは失礼でしょ」(笑)
「いいのいいの、一番早く来てくれるお店にしよ~って決めてたから」(笑)
「どこから来たの?」
「千葉だよ」
さっそく面接を始めた。
彼女は仙台で生まれた。
父親は運送会社に勤務していたようだ。
「ちょうデカイやつだった」と不機嫌そうに父親の印象を吐き捨てた。
母親の事を話す時は一転して明るい表情に変わった。
「小さくて可愛いかったよ、ママは漫画を描くのがうまくて、一緒に毎日絵日記描いてたよ」(笑)
その二人は弥生が3歳の時に離婚をした。
父親の浮気、借金、DV…。
あげくのはてには、生活費すら入れなくなったらしい。
美恵子の再婚はその2年後、弥生が小学校に入学した年。
パート先のパチンコ店で知り合った男性が、弥生の新しい父親となった。
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