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昨日まで17歳の少女が、怖いものなど何もないという口調で、僕と会話をした。
弥生は、今ドキの不良少女を絵に描いたような女の子だった。
見た目から受ける印象や話し方、考え方も、まるでテレビの特集番組で取り上げられるイメージ通りの女の子だった。
高校1年の夏休み、
母親の美恵子と二人で久しぶりに祖母の「多恵」に会いに来た。
多恵は美恵子の兄の家族と同居していたが、その時は兄家族が旅行中だった。
弥生は、兄嫁と美恵子の仲が良くない事を幼い頃からわかっていた。
二人の争いは美恵子が二度目の離婚をした頃からだった。
その夜は、三人で寝ようということになり、
川の字の真ん中には多恵が寝た。
とても暑く、寝苦しい夜だった。
懐かしい話しのほとんどが苦労話しで、美恵子は娘の前で言い辛い事も母親の多恵には素直に答えた。
その時その時、折々の母親としての気持ちや感情を改めて知った弥生は、時に涙しながら、「もう一組の母と娘」の気持ちの通った会話を天井を見ながら聞いていた。
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