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自動車事故だった。
女三代、語り明かした夜から一週間後の悲劇だった。。
パート先の上司が運転する車の助手席で美恵子はこの世を去った。
保険金も、ろくに出なかった。
美恵子の兄嫁に引き取りを拒否された弥生は、千葉に住む祖母の兄弟の家に引き取られた。
「そこから先のうちはヤバいよ!」と彼女は笑いながら言った。
「なになに?どうしたの?」と尋ねるのは簡単だったが、僕は目の前にいる女の子に悲惨な過去を思い出させることをあえてためらった。
しかし彼女の口から、その後の「ヤバい生活」が吐き出された。
僕が気を使っていたのを知ってか知らずか、ゆっくりとした口調で話しだした。
先ほどの表情とは違い、笑顔まじり。
世間で不良少女と呼ばれる条件を全て満たした経歴は、まだ幼い彼女には“自慢すべき事柄”のようで、それらは「ハク」をつけた武勇伝の数々だった。
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