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まだ日が昇っていないからか、街の中はほの暗い。
レンガ造りの道を黒髪の少年が駆けてくる。歳の割には小柄で細身。
なんだか嬉しそうで、時折ステップが混じる。
見ているこちらが恥ずかしいぐらいだ。
「おばちゃんおはよ!」
「おはよう、イル。何か嬉しい事でもあったのかい?」
花に水をあげる手を止めて、少年に話しかける。
少年は元気に首を縦に振り、手に握りしめた物を見せてくれた。
「受かったんだね?」
「うん、今日から僕もハンターだよ!これでみんなに楽をさせてあげれる。」
この家族思いの少年は、大事にそれをしまうと、街の中心に向かって走り出した。
「いってらっしゃい。」
「うん!」
少年が角を曲がり見えなくなった頃、ちょうど日が昇った。
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