第一章 出会の街角

3/12
1378人が本棚に入れています
本棚に追加
/473ページ
       † 髪を撫でるように風が踊る。 イルは息を切らしながら街の中央にたどり着いた。 憩いの場として、そこは広場となっている。噴水の周りに芝が植えられて、休日には家族連れやカップルで賑わうのだが、時間が時間だけに人ひとりいない。 「早すぎるかな?」 噴水をぐるっと周り、その後ろに見える三階建ての建物を見つめる。 木造なのは一目みればわかり、この街の雰囲気にそぐわない。 そして、至る所に修理の跡があり、継ぎ接ぎだらけなこの建物は、世界を束ねるギルドのこの街の支部である。 「明かり…ついてるよね。」 確かめるように呟くと、壊れかけた扉に手をつける。 自分を落ち着かせるように何度も何度も深呼吸をして、手に力をこめた。
/473ページ

最初のコメントを投稿しよう!