第一章 出会の街角

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ギィ────ッ 意外と楽に開いた扉は、ガコンと音を立てて外れた。 "ひぃっ!?" 心臓が早鐘のように鳴り、どうしようと周りを見渡す。 「…だ、誰も…。」 「あ、壊した。」 「ぎゃぁ──ぁっ!」 誰もいないと確認したのに、声は意外な所から降り、イルの心臓を縮める。 恐る恐る振り返ると、金髪の男が「何してんだ?」と物言いたそうな顔で覗きこんでいた。 「あの、これ…その…。」 「また外れただけだよ。気にすんな。」 蒼の双眸をにゅっと細めて、男はイルの肩を叩く。 一気に気が抜けたイルを見て、男は楽しげに笑いをこぼす。 「申請に来たんだろ?早く入れ入れ!」 「あ、はい。」
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