第一章 出会の街角

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建物の中は、がらんとしていた。 ソファーやテーブルがまばらに置かれ、埃をかぶり、床には瓶やグラスが散乱している。 "ここギルドだよね?" ギルドは世界に存在する《魔法》を管理するための組織である。 《魔法》と言っても、それに関わるすべてのもの、と言った方が正しい。 国よりも権威あるギルド…支部とはいえ、もう少し威厳のようなものは無いのだろうかと、つい考えてしまう。 「お~い!オヤジィ!」 目の前のカウンターを男は遠慮なく叩く。 木が怪しい音をたて始めた頃、奥から眠そうな男が出てきた。 「朝っぱらからうるせ~んだよ、餓鬼が!」 「ギルドは24時間、天地がひっくり返っても対応するんじゃなかったか?」 欠伸をかみ殺した男は嫌そうに金髪の男を見た。
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