神棚の神様

5/14
前へ
/14ページ
次へ
************ 恵比寿さまが住まわれる大きな社。 お仕えの方に用件を伝えると、快く引き受けて下さいました。 恵比寿さまはお優しい方ですから、私のような力の弱い神にも会って下さるのですね。 何だかドキドキしてきました。 案内され、恵比寿さまがいらっしゃるのをひざまづいて待つ間、私の頼みを聞いて下さるかどうか、そればかりが心配でした。 やがて、着物をこする音が聞こえてきて、顔を伏せた私の前に、ゆっくりと大きな気配を纏った方が座るのがわかりました。 「顔をあげなさい。」 声を掛けられて、はい。と返事をして顔をあげると、 そこには、あの恵比寿さまがいらっしゃいました。 掛軸などで拝見するお顔よりも、より一層威厳に満ちた風格の恵比寿さまは、優しく微笑んでおられました。 「今日はどういった用件かな。」 そう問われた私は、素直にここに来た経緯を話しました。 私の家族に、金運を呼び込んで欲しいと。 つまり、恵比寿さまのお力で、私の家族が『宝くじ』に当たるようにして欲しい。 私は一生懸命話しました。 私の家族の為です。 恵比寿さまに聞いて貰えるように、必死で話しました。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加