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15日後―――
一人の来客が来た。
それは、お兄様と一緒に活動なさっていた同士のお一人の方だった。
服はびりびりに破け、頭からは血を流されていた。
嬢:「三角、この方を治療させて差し上げて。」
男:「真紀様のご好意ありがたく、受けさせて頂きます。真紀様に申し上げなくては、いけない事が………」
急にその男の表情が曇った。
男はゆっくりとこう話し始めた。
その日お兄様を含め6人の同士達はいつもの通り、夜中の会合を開いていた。
どうすれば、新撰組を倒せるか?……そのような事を話していた。
お兄様達の結論は武力を使うのも仕方がないという事になった。
そこに、新撰組がやってきた。
あっという間だったらしい。
この男が言うには仲間の内、4人はもう新撰組によりその時殺された。
お兄様は新撰組に捕えられ、この男は命からがら逃げてきた。
嬢:「お前は何故戦わなかった!! 仲間が……お兄様が捕えられてるのを見て何故逃げた!!」
男:「雪様(兄の名前)がお前は逃げろとおっしゃったので……。」
あぁ、お兄様はこういう人だった。
自分の痛みより他人の痛みの方が見てられない人だった。
そのお兄様が助けた人を私が罵倒してどうする?
嬢:「すまん。感情的になって。三角、この方に手当てを。」
男:「ありがとうございます。」
その場で男は泣きくずれてしまった。
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