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副官が告げた敵の一部隊の名を聞くなり、RNAの司令官カスパー大佐は苦い表情を浮かべた。
「ご存じなのですか?この…紅の騎兵隊なる部隊を」
「以前同じ戦場でな…もっともその時は味方であったが」
“あの時”の事を思い出し、カスパー大佐の顔がさらに歪む。
「フン、好都合だ。あの時の借りを返してくれるわ」
「大佐…?」
「こちらの戦闘準備は」
「は、はっ、九割方準備は完了しております。しかしよろしいのですか、このような編成で」
「問題はすでに解決済みだ。指示通り準備を進めろ」
そう言って副官を下がらせると、カスパー大佐は怨敵である、一人の男の顔を思い出していた。
「待っていろ、アレックス・ローゼンバーグ…目に物見せてくれる!」
その頃―
「ふわあぁ~あ」
「みっともないですよ、隊長」
自分が恨まれているとは露知らず、アレックス・ローゼンバーグは大きな欠伸を連れ立って歩いていたイザール・ディスレイに咎められていた。
「仕方ないだろう?毎度毎度同じ事の繰り返し、あれでは作戦会議を開く意味が無い」
「DNAは図体ばかり大きい組織ですからね。そう簡単に体質は変わりませんよ」
「辛辣だね、“ドクター”」
「事実ですから」
そう言ってイザールは掛けている眼鏡の位置をクイッと直した。
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