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「お母さん…あたしは信じてるから。貴女に逢えると」
一一豊かな緑と水の街、グリーンフィールド。魔法都市としても有名なこの街で、親を探し、旅をする少女が居た。
長い黒髪とエメラルドグリーンの瞳をした少女。少女の名前はセルシア。まだ物心つかぬ赤子の頃に、孤児院の前に捨てられていたのだという。
「お腹空いたなぁ…」
セルシアは、食事を取っていないことに気付いた。そういえば、最後に食べたのはいつだったかな?
たしか、2日前くらいだったはず。
「前の街では野宿だったから、この街では宿に泊まろうかな」
あたりをきょろきょろ見渡し、セルシアは背中に生えた純白の翼を広げ、勢いを着けて飛び立った。
「こんなに広い街だもの。きっと素敵な宿泊施設があるよね」
一有翼人種。その名の通り、翼を持ち、重力に反して大空を自在に飛び回れる種族。ここグリーンフィールドを始めとする街では、さほど珍しくもない。
獣の耳を持つもの、人の姿をしていないもの、魔法を使うもの、この世界には、さまざまな種が生きている。
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