第10話『天界の聖魔』

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三人の天使の名前を連呼し、必死に探す幼天使。よく考えてみれば、上級天使である聖天使が普段、何処に居るかなんて、分からない。下級天使は城内へ出入りする事もないので、城内で仕事をしているとするなら、この事を知らせるのは、難しい。 「どうしよう…ミカエル様、何処に居るかわかんないよ…ラファエル様もウリエル様も…」 幼い天使は翼が未発達なため、長時間の飛行が出来ない。疲れ果てた幼天使は仕方なく地面に降り、へたりこんでしまった。 「あれ?キミ…サリの担当の幼天使のユキちゃんじゃない。何してるの?こんな所で」 ユキに声を掛けてきたのはウリエルだった。時間が空いたので、城外で買い物をしていたらしい。ウリエルの声に気付いたユキは、途端に泣きべそを掻きながら、ウリエルにしがみつき叫ぶ 「ウリエル様~!サリエル様が…サリエル様が!!」 「サリエルがどうしたの?」 「サリエル様が死んじゃう!!」 ユキはうわあぁと声をあげて泣きだす。ウリエルは、はっとしてユキを抱き上げる。 「サリは何処に居るの!?」 「ちゅ…中央広場…」 ユキの言葉を聞くな否や、ウリエルはユキを抱いて飛び立ち、中央広場へ飛んでいった。 「サリエル!!」 広場に着き、翼を畳むと直ぐ様サリエルに近づく。サリエルは声の主に気付くとウリエルに向かって怯えながら喋る。 「げ…下界で…セルシア様が…聖魔様が覚醒してる…。あたしの…中の…シャルドネ様の力が共鳴してるの…」 「えっ!?セルシア様が覚醒!?でも、2人は天界と下界で離れてるのに…どうして」 ウリエルはサリエルを城内に連れていこうとするのだが、サリエルの身長は160cm以上。155cmの小柄なウリエルが、彼女を抱えて飛ぶのは不可能だ。 「聖魔様…の…魔力が、あたし達の想像を…はるか…に…超えてた…のよ…聖魔様が天界に居なくても…あたしの聖力じゃ、封印を押さえられない…」 サリエルの体内に封じられたシャルドネの力が覚醒をすれば、サリエル自身がどうなるかは、安易に想像できる。だから、セルシアの封印を厳重に掛けて、天界を追放したのだ。 (…どうしよう…あたしの力じゃサリを連れて飛べない…ミカかラファが居ないと、サリをここから動かせない…) ウリエルはサリエルを再び横にすると、自分ではサリエルを連れていけないと気付き 「サリ!!ラファかミカエルを連れてくるから、意識を失っちゃ駄目よ!!」 と言って、城内へ飛んでいった…
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