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城内に戻り、カルーアとミカエルも交えて、サリエルを部屋のベットに寝かせると、ミカエルは、封印の鍵を出すように促す。
「…封印…また…できる…の?」
朦朧とする意識の中、サリエルは服の中にしまってある、小さな鍵を差し出す。
「分からない。でも、このままだと、お前の身体も危険なんだ。」
サリエルからミカエルに手渡された鍵は、その姿を剣型の巨大な鍵に変えた。
「…以前、封印をしたのは私だから、今回私はする事が出来ない。…ラファ」
ミカエルは鍵をラファエルに渡すと、目で伝る。
「私が…?」
ラファエルはサリエルを見る。
「わかった。やります。私だってサリを失うのは嫌だ」
鍵を受け取ると、ラファエルはサリエルの身体の上に鍵をかざす。
「サリ…我慢してくれな」
そして、鍵をサリエルの胸に刺すと、鍵は皮膚を傷つける事なく、胸に入り込む。そして扉に鍵を掛けるように封印の鍵を捻ると、サリエルの胸の中で『かちゃり』と音がする。
「…出来たの?」
「…た…たぶん」
ウリエルとラファエルはサリエルを見ながら、封印が成功したのか、失敗したのか、息を飲む。サリエルはさっきまでとは違い、落ち着いた表情で眠っている。見た目には分からない。こればかりは本人にしか分からないのだ
「サリエル…」
カルーアはサリエルの長い銀髪を撫でる。
「お母さまのせいで一番辛い経験をしてるのは、他でもない…サリエルなのかもしれないわ」
カルーアが申し訳なさそうに切ない表情をした時、その手をサリエルが掴んだ。
「一えっ?サリエル?」
ウリエルの問いにサリエルは、彼女でない声を発した。
「七大天使か…」
「一?」
そこには、外見こそはサリエルだが、見るからに彼女ではない誰かがいた
「私が封じられて二千年…今再び、下界で聖魔が目覚める」
声の主に聞き覚えがあった。
一先代女王、シャルドネ
「貴女は…シャルドネ様?なんで…」
ミカエルは同僚の姿をしているシャルドネに話し掛ける。なぜ封印が…さきほどのラファの封印は成功していなかったのか。
「下界で目覚めた聖魔のおかげさ。いままで封印されていたお礼に、この天使、暫らく使わせてもらうよ。」
サリエル…いや、シャルドネは城内から飛び立ち、そのままセルシアのいる下界へ向かった。
「サリエルが!サリエル~!」
シャルドネは、セルシアを見つけに行ったのだ。聖魔天人同士の2人は、魔力で共鳴しあう。セルシアの覚醒で、シャルドネも目覚めてしまったのである。
第11話につづく
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