第10話『天界の聖魔』

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城内に戻り、カルーアとミカエルも交えて、サリエルを部屋のベットに寝かせると、ミカエルは、封印の鍵を出すように促す。 「…封印…また…できる…の?」 朦朧とする意識の中、サリエルは服の中にしまってある、小さな鍵を差し出す。 「分からない。でも、このままだと、お前の身体も危険なんだ。」 サリエルからミカエルに手渡された鍵は、その姿を剣型の巨大な鍵に変えた。 「…以前、封印をしたのは私だから、今回私はする事が出来ない。…ラファ」 ミカエルは鍵をラファエルに渡すと、目で伝る。 「私が…?」 ラファエルはサリエルを見る。 「わかった。やります。私だってサリを失うのは嫌だ」 鍵を受け取ると、ラファエルはサリエルの身体の上に鍵をかざす。 「サリ…我慢してくれな」 そして、鍵をサリエルの胸に刺すと、鍵は皮膚を傷つける事なく、胸に入り込む。そして扉に鍵を掛けるように封印の鍵を捻ると、サリエルの胸の中で『かちゃり』と音がする。 「…出来たの?」 「…た…たぶん」 ウリエルとラファエルはサリエルを見ながら、封印が成功したのか、失敗したのか、息を飲む。サリエルはさっきまでとは違い、落ち着いた表情で眠っている。見た目には分からない。こればかりは本人にしか分からないのだ 「サリエル…」 カルーアはサリエルの長い銀髪を撫でる。 「お母さまのせいで一番辛い経験をしてるのは、他でもない…サリエルなのかもしれないわ」 カルーアが申し訳なさそうに切ない表情をした時、その手をサリエルが掴んだ。 「一えっ?サリエル?」 ウリエルの問いにサリエルは、彼女でない声を発した。 「七大天使か…」 「一?」 そこには、外見こそはサリエルだが、見るからに彼女ではない誰かがいた 「私が封じられて二千年…今再び、下界で聖魔が目覚める」 声の主に聞き覚えがあった。 一先代女王、シャルドネ 「貴女は…シャルドネ様?なんで…」 ミカエルは同僚の姿をしているシャルドネに話し掛ける。なぜ封印が…さきほどのラファの封印は成功していなかったのか。 「下界で目覚めた聖魔のおかげさ。いままで封印されていたお礼に、この天使、暫らく使わせてもらうよ。」 サリエル…いや、シャルドネは城内から飛び立ち、そのままセルシアのいる下界へ向かった。 「サリエルが!サリエル~!」 シャルドネは、セルシアを見つけに行ったのだ。聖魔天人同士の2人は、魔力で共鳴しあう。セルシアの覚醒で、シャルドネも目覚めてしまったのである。 第11話につづく
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