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「ここの宿可愛いですね。宿の名前もなんだか素敵」
セルシアは初めて訪れたこの宿が気に入ったみたいだ。
妹のカイリはここに来て、初めてできた友達。兄のルディは初めて知り合った年上の男性。すべてが初めての街。
「セルシアさんは、気ままな一人旅ですか?」
珈琲を入れながら、ルディがセルシアに聞く。カップに注がれた珈琲からは湯気があがり、カイリとセルシアに渡す。
「人探しをしているんです。かならず逢えるって信じてるから」
「セルシアの探し人、きっと見つかるよ!あたしも応援してるからさ」
珈琲片手に、カイリがガッツポーズをする。本当に元気な娘。何処となく、自分と似ているな…とセルシアは思う。
「この宿も、まだオープンしたてなんですよ。セルシアさんが、お客様第1号ですから」
まだ開業して間もない宿は、ペンキの匂いが残る真新しい建物だった。
「ここね、海が近いから、この宿からもどの部屋でも窓から海が見えるのよ」
カイリがまたセルシアの手をとり、階段を駆け上がり、客室に走る。ルディはまたあきれ顔で、カイリを見るが諦めて、後から客室へ向かう。
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