《第一章》平和な 日常

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  背後から、おぞましい声が聞こえる。 それは猛獣かなにかののうめき声のように聞こえる。 …いや、本当は『それ』が生きているのか、『現実に存在する物』なのかどうかも分からない。 振り向く事は許されないから。   どうしてそう思うのか?それは分からない。 ただ、私の感覚が、今までの経験が、勘が、全てにおいて体中がNOと言っている。     それが、決定づけた…つまり『確信』。 振り向けば、必ず私を傷付ける事が起きる…アレは……危ない。 それだけは言える。 ここは真っ暗な空間で、私はそこに一人で居る…いや『それ』が居るから『二人』だ。     『それ』はだんだん近付いて来ている。 そんな気配がする。存在を感じ鼓動が速くなっていく。 反射的に歩幅を大きくし、足の歩くスピードを速くする。   歩く意味はあるのか?出来るだけ悟られずに行きたい。 足音を起てたく無いから、歩く。       見つかりたくないから。    …意味の無いことかもしれないが。
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