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桜華は自分の身体よりも太い幹に凭れながら、深いため息をついた。
「『主として認めるわけにはいきません』・・・か・・・・。やっと、トラと友達になれたのに・・・」
桜華は、そう呟くと目を閉じ、寝息をたてはじめた。
「だっ、誰か!?助けてっ!!」
繭羅は、何もない空間の中で、必死になって逃げていた。
深い闇が段々と繭羅に近づいてきた。
そして、闇が繭羅を呑み込もうとした。
「いっ・・・、嫌ぁ――――――――――っ⁉」
「‘風の旋律’‼」
繭羅の悲鳴と被る位大きな男性の声が響いた。
それと同時に闇が消え、目の前に見馴れた自分の部屋の天井が見えた。
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