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弘は朝食を素早く食べると学校へ行く支度をした。教科書より何よりもまずスカッシュのラケットを用意している。これもいつもの風景である。
「ああ、もう。朝慌てなくてもいいように昨夜のうちに支度しときなさい。っていつも言ってるでしょ。」
そんな母の悲痛な叫びも弘は右から左へと聞き流す。これもいつもの風景。
そうして慌ただしく支度をすると弘は家を出た。
朝日が眩しく空が晴れ渡っている。今日は部活で新入生の本入部の日だった。弘はどんな後輩が入ってくるのだろうとワクワクしていた。
14才ながらにどう育ててやろうか、なんて考えたりもしている。なんせ今日からは弘が部長となり十数人といる部員をまとめていくのだからそうもなる。
しかしそれは何も部長になるからというだけではない。兄の一彦には劣るが弘もスカッシュ界ではかなり有名な選手なのだ。
今朝読んでいた雑誌の最後の方のページに「発見!!期待の新星」というコーナーがあるのだが、そこに二度程載ったことがあるのだ。
そんな少しうきうきしながらも緊張した弘が学校へとむかっていった。
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