We Love スカッシュ🎾

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その日の弘はどんな授業も身に入らなかった。もう朝から部活のことで頭がいっぱいなのである。部長挨拶を何度も何度も頭の中では繰り返す。時にはうわの空なことを先生に見透かされてしまい、急に問題を出されもしたが弘は勉強はできるほうなのでそつなく答えることができた。   そうして待ちに待った放課後。現部員の十人と弘はこれまでにないほど早く体育館に集まっていた。みんな何だかソワソワしている。   「新入生に経験者っていたりするのかな?楽しみだね弘。」   スカッシュ部は男子四人、女子七人で活動している。今弘に話し掛けてきた背の高い女の子は女子部長の「佐久間 夏海(さくま なつみ)」だ。短く切ったスポーティーな髪型で、美男子のようなキリッとした顔立ちをしている。優しいのが少し過ぎてしまう弘を支えてくれている。   「うーん。どうだろうね。スカッシュってまだマイナーだから経験者はいないんじゃないかな?それより一人でも多くの人に入ってもらいたいなぁ。」 そう言った弘の本当に楽しそうな顔を見て、夏海をはじめ部員達全員の緊張が少しだけ和らいだ。
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