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「9時になった」
腕時計を見ながら俺に聞こえるくらいの声で雫が呟いたその瞬間。
「やっ」
俺と雫しかいなかったはずのその場所に黒い丈の長い上着を着た男性が現した。
いきなり現れたことに驚いた。
「君が、幾斗くんに雫ちゃんだね」
しかも名前まで知っているようだ。と言うことは・・・
「あんたが手紙を出した人?」
「あぁ、正確には学校からだけどな。ここに来てくれていると言うことは、体験入学に参加するために手紙の地図を頼りに来てくれたということだよな?」
男性が言う言葉に俺と雫はゆっくりと頷いた。確かにそのためにここにきたのは間違いないんだが・・・
「あの・・・スクール オブ マジックって?」
俺も気になっていたことだ。スクール オブ マジックという学校は一体どんな勉強をするための学校なのか・・・。雫が代わりに質問してくれた
「それはね・・・おっと、先に乗ってくれ。次の待ち合わせ場所に行かなければならないんだ」
そう俺たちに言うと路地裏広場を出る道のほうに男性は向い始めた。これはついて来いという意味なんだろうな。
こそこそと話しながらついて行くと、先についていた男性が
「早く乗りなさい」
大きな声で呼ぶ。
そんなに出さなくても聴こえてるっての。
そう思いながら、路地裏広場を出た。
男性が乗りなさいと言っていた乗り物はリムジンにように見える大きな車。
周りを見渡すと、そんな大きな車が入って来れる道は全くない。
「この車…どうやって…」
とても気になって仕方ないが、男性に『乗れ』と急かされる。今尋ねてみたいが、あとでも出来るだろうと考え、男性に急かされるがままに車に乗り込んだ。
乗り込んだ車の中は…目を疑わせるような光景だった
第三話へ続く
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