悠久の闇。

7/11
前へ
/16ページ
次へ
  ―――――クスリ   小さく、その少年は笑った。   いつの間に現れたのか、少年は気配を感じさせなかった。 歳は十二歳くらいだろうか。あどけない微笑を浮かべた顔は、将来が楽しみな程整っている。 白い肌に映える、赤い唇。それ以外は全て、闇色だった。 着ているのは、闇色のスーツ。 髪も、瞳も、瞳を縁取る睫毛も、濡れるような、何処までも続くかのような漆黒の闇色だ。   「な…、何なんだお前は」   若干怯みながらも、男は突如現れた少年に言った。   「僕?僕は悠。普通の少年だよ?よろしくね、お兄さん」   クスリ、と再び、悠は微笑んだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加