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―――――クスリ
小さく、その少年は笑った。
いつの間に現れたのか、少年は気配を感じさせなかった。
歳は十二歳くらいだろうか。あどけない微笑を浮かべた顔は、将来が楽しみな程整っている。
白い肌に映える、赤い唇。それ以外は全て、闇色だった。
着ているのは、闇色のスーツ。
髪も、瞳も、瞳を縁取る睫毛も、濡れるような、何処までも続くかのような漆黒の闇色だ。
「な…、何なんだお前は」
若干怯みながらも、男は突如現れた少年に言った。
「僕?僕は悠。普通の少年だよ?よろしくね、お兄さん」
クスリ、と再び、悠は微笑んだ。
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