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「そ、そうですか」
唖然とする女性を横に、ベッドから這い出る。
少しズキズキと頭が痛んだけど、苦しい顔を一度でも表に出せない。この女性がまた縮こまるだろうからね。
僕がスリッパを履いている内に、例の女性は気持ちを入れ替えたのだろう。頬をあったか色に染め頭を下げた。
「あ、あの。有難う御座いますわ」
嬉しそうに謝罪に講じる、名も知らぬ女性。
女性が本調子に戻ってきたのを察しつつ、ベッドから重い腰を上げる。
「はい。こちらこそ有難う御座います。僕をベッドまで連れて来たのも、あなたですよね?」
少し笑いながら言うと、耳まで紅潮させた女性は目を逸らした。
「ぁ、はい。でもそれは、そもそも私が起こした不祥事……」
「さぁ、そろそろ行きましょう。恥ずかしながら、新しいクラスを早く見たいものでしてね」
聞こえないふりをして、女性に背を向けて歩く。
顔を赤くしっぱなしの女性は、おとなしくついて来た。
女性を横目で確認し、安心しながら僕は扉に向かう。
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