困った、転校生

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「もう、判った!」  僕が悶々と悩んでいると、背後の肩越しに担任の佐藤教員が手を出した。  その手は扉を開き、もう片方の空いた手で、   どん。   「NOーーーーー!」  予想通り、背中を押されて教室の中にダイブっす。  しかも昔の癖がつい出て、英語喋っちゃったよ。  はぁ~~~。第一印象、絶対変な人で確定だよ。  気落ちした気分で、よろけた体勢を整える。そして恐る恐る、教室の全体を一瞥した。 「「「「「……」」」」」  キタキタキタキタキターーー!  眼、眼、眼、眼、眼、教室の皆の眼が、僕に集中してますよ!?  教室中の注目を一点に集めているのだけど、ちっとも嬉しくないッス。転校した事のある人ならば、この感覚解ってくれますよね!? 「……えー、転校生の翠公平(みどり こうへい)です。外見はアメリカ人ですが、日本語は得意です。  今まで都心の方に住んでいましたので、至らない所もあると思いますが、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」  ぺこっ! と頭を下げる  そして、そろ~と頭を上げる。 「「「「「……」」」」」 「………………」  クラス全体にしーんと、ある筈もない擬音が浮かんだ。
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