困った、転校生

2/60
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
 チュンチュンと、心地よい鳥のさえずりが聞こえる。  雲の隙間からのぞいた陽光が、僕の体をつつむ。  ふとアスファルトに視線をやる。すると夜の内に通り雨が来たのか、水溜りが光を反射していた。 「よっと」  ちょっとガキっぽいかな?とは思ってみたけど、水溜りをジャンプして飛びこえてみる。 「お? お? ふぃ~~」  危なっかしくも少しよろけたが、何とか不時着成功した。  そして気を取り直し、歩きだす。 「さて、どうなるモノかなぁ」  少し雲がかかった青空を仰ぐ。  民家の軒下からは、雨粒がポトリ。  青草が鼻腔をくすぐった。  見慣れない光景を横に、僕は気を引き締める。  そう、ついに今日が、人生初の転校日となる。 「ははは、転校初日にイジメられたりして」 「……」 「……」  われながら縁起でもない。  そういうのは、ちょっと勘弁願いたいものだ。 「ま、僕に限ってイジメはないと思うけどね……多分」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!