困った、転校生

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「はい?」  唖然とた僕は、無意識に聞き返した。  すると僕の呟きを二人はいち早く察知し、こちらに穴が空くような熱視線を向けて来る。  そしてさっきの映像を巻き戻したかのように、 「当然だが、柑座組合だろ!?」 「聞かずとも、山鼓組合に決まってますわ!?」  二人が僕に、鬼のような形相で問い掛けてきた。 「え、えーっと……」  要領を得ない質問を前に、クラスの誰でも良いので助けを求め、視線を彷徨わせる。  それで気付いた。熱心さの大小は個々で違うが、クラスの皆は、僕の発言に耳を傾けていることに。 「……あー、ぁー、えっと……」 「柑座組合だよな!?」 「山鼓組合の筈だわ!」  クラスの皆の視線が痛い。  どっちに賛同すれば、正解なのだろう? 「迷わずとも、山鼓組合に決まっておろう」 「さっさと決めてくれよ!」 「ちょっとぉ、聞いてるの!?」 「……優柔不断?」 「俺は、どっちでも良いんだけど」 「柑座組合が一番だよ」  次第にクラスに広がる、冷たい視線の数々。まさにその様は、水の中に入っていく汚泥のよう。
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