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「ほへ~~」
これから毎日通う校舎を眺めると、思わず感嘆の息を吐いた。
「こりゃ、こりゃ」
凄いの一言に尽きる。
勿論校舎が大きかったり、設備が整っていそうなワケでもない。
だったら僕は、何に感銘を受けているのかと言うと、それは、
「全部、もくぞー」
そう、校舎が全部木造で出来ているからだ。
木製の建造物は縦に短く、横に長い。朝焼けに染まった長方形の建物は、厳とした空気をかもちだし、さながらお寺のような風格を持っていた。
「あ、でも、校門だけはコンクリートだな」
こんなに田舎町でも、やはり昨今騒がれている校舎への侵入者対策はしてあるんだろう。学園を囲むコンクリート製の門は、明らかに後から増設された物だと解る。
何気なく周囲をキョロキョロ見回しながら、校門をくぐろうと足を進めていると、
「そこのキミ、止まりなさい!」
僕の背中に、凛とした女性の声がかかった。
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