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「すいません。僕には貴方が何を仰っているのか、良く理解できません。
宜しければ噛み砕いて説明して下されば、こちらとしては助かるのですが」
「何を今更、おとなしくなっていますの? まさか自分を多重人格と偽って、逃げる気?
そうはいかないですわよ。あなたが無断で学校に入ろうとしていた所を、この目で目撃しているのですから」
竹刀を中段で構えつつ、女性が鋭い視線を僕に浴びせる。
なるほど。どうやら彼女は、僕を不法侵入者と思っているようだ。
別に探りを入れたワケではなかったけど、棚ボタで彼女の怒っている理由が解ったのは、何よりの収穫かな。
「あの、失礼ですが、教職員の方々から伺っていないのでしょうか? 私はこの学校に、今日転校する事になっていたのですが……」
「む。いい加減に潔く認めたらどうですの? ここまできて、尚も言い訳とは男らしくないわね! 御託を並べる前に、あなたも男なら構えなさい!」
「……」
低姿勢で応対してみたが、逆に火に油を注いでしまったみたいだ。
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