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「……」
女性と僕の間に、秋風が通りすぎる。
そして完全に風がさった後に、僕は口を開く。
「それでは、いきますよ」
例の女性は明らかに手馴れた竹刀の使い手だと解る。
だが僕は彼女を臆す事なく、歩を進めた。
「ヤァ!」
辺りに轟く、彼女の一喝。
彼女の間合いに入った瞬間、脳天を叩こうと竹刀の軌跡が円を描いて迫ってくる。僕はそれを受け止めずに、真横に飛び移ろうとして、
「がっ……!」
情けなくも、思いっきり竹刀が頭に激突した。
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