困った、転校生

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 頭の頂点に痺れるような痛みが走り、その数秒後に全身へ痛みが浸透していく。  視界の中にチカチカと星が浮かび、世界が朧げに映る。  気が付いた時には、僕は地面に仰向けに伏していた。 「どうしたのです? 酷く呆気ない。若しかして手加減した訳では無くて?」  晴れた青空から、例の女性の声がかけられた。勿論皮肉なんかではなく、本気で疑問を感じているのが分かる。  だが例の女性の質問に答えれるほどの体力は、今の僕には残っていない。  それより頭が割れるように痛い。たかが竹刀と言っても、どうやらバカに出来ないらしい。  次第に痛みで意識が遠のいていく。  あぁ、例の女性に、僕が本当の転校生だという事を伝えないといけない。  そう思ったが、時は既に遅く、体は全く動かなかった。   次第に景色は薄れていき、ほどなくして意識を失った。
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