六甲山

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私に気付いた彼は、ゆっくりとバイクを止めて私に近づいてきた。どうして?ここで待ってるって知ってたの?   何故か彼の手には私の大好きな花のブーケ。ゆっくりと歩み寄ってくる。   不思議そうな顔をして立ち尽くす私に微笑みかけるヘルメットの中の彼の表情は何故かとても悲しそうに見えた。   ずっと待ってて、やっと会えて、ビックリして、嬉しくて、泣きじゃくるしかない私を彼はぎゅっと抱きしめてくれた。 久しぶりに触れる彼の体は夏にも関わらず冷たく感じた。   「ごめんもう一人になんかにしやしないよ。これからはずっと一緒だよ」   そう抱きしめる彼。やっと会えて、言いたいことたくさんあるのに、何も言えなかった。 ただただ抱きしめ合う事しか出来なかった。
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