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ザク ザク
目を覚ますと雪の中を歩く一人の男
オイラはソリに乗せられて引きずられている 指先の感覚はなく体か思うように動かない
男は小屋に付くと、オイラをひょいと担ぎ、ソファーに寝かせ暖炉に火をくべた・・オイラは腕と記憶を無くした代わりに帰る場所を手に入れた
男の名は ハルク 背が高く、ぶっきら棒で、手足はゴツゴツしている、あまり喋らないがオイラと居ると嬉しそうによく喋る。そんなハルクがオイラは好きだ
昼間きこりのハルクの手伝いをする といっても片手が無いから もっぱら木の上でハルクの仕事ぶりを観ている・・・そろそろ太陽が頭の上にくるオイラの出番だ
「昼だよーハルク」
オイラの声が聞こえたのか地面に斧を突き刺しのしのしと歩きながらこっちに来て革の布に包まれた大きなパンを半分ちぎって投げてくれる
片手でバランスを取りながら口でキャッチすると
「上手いな」
ニヤっと笑った。そんな穏やかな日々はそう長くは続かなかった。
地面が水を吸うように、じっくりとでも確実に歯車は回りだしていた・・・
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