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サーー
降り続ける雨、窓の外に吊るされているテルテル坊主。
笑顔であったそれは、雨に濡れ、まるで泣いているように見える。
「いいかい。雨が降ってしまったからといってテルテル坊主様を恨んではいけないよ?」
6畳ほどの和室の片隅、そこに幼い女の子が可愛らしい顔を歪め、膝を抱えながら泣いていた。その少女に老婆が優しく話しかける。まるで、昔話をするかのように……。
今日は彼女にとっては特別な日であった。
少女が通っている幼稚園、今日はその遠足の日であった。しかし、外は見ての通りの大雨。
彼女が作ったテルテル坊主の効果もなく、遠足は中止となってしまった。
「ウッ、ヒック……あしたは、はれる?ヒック……」
泣きながら問う彼女に老婆は優しく頭を撫でながら優しく言う。
「美古都が良い子にしていれば晴れるよ。ただ、悪い子にしていると『大雨乞い』になってしまうよ?」
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